第35回 小川未明「金の輪」「はてしなき世界」「ある夜の星たちの話」「赤い蝋燭と人魚」

この日はメンバーのOさんの選書とファシリテーションで進行しました。


小川未明といえば、「赤い蝋燭と人魚」。

それも含めて短いお話を4編一気に読んでもらいました。


童話というカテゴリーは、絵本よりももっと触れる期間の少ない本なのではないかと思います。

絵本は、大人になって子どもが生まれたりするともう一度手に取る機会があったりするのですが、

童話はなかなか読み返す機会がありません。

記憶の中で、ぼんやりした空気や色などとして刻まれていることが多く、

お話の筋や細かいディテールなどは忘れてしまっているものが多いのではないでしょうか。


「赤い蝋燭と人魚」は、読んだことがある方は、「怖いお話」として覚えていたようですが、

あらためて読んでみると怖いだけではなく、本当にどうしようもなく酷い話でした。

「人魚がどうやって妊娠するんだ?!」

「人間が親切だという話を、孤独に生きている人魚がどうやって知りようがあるんだ?」

など、突っ込みどころもあり...。


こちらは比較的教訓的な要素もみられるのですが、

他の短編は何かオチがあるわけではない、

何かが起こっているようで何も起こっていないような不思議な世界。

視点も一人称でも三人称でもない、語り手の立ち位置がよくわからないくて、

普段読んでいる小説と違うので、落ち着かないという感想も何人かから聞かれました。


また、小川未明はどちらかというとネガティブな状況や感情を描くことが多く、

一体これは本当に子ども向けに書かれているのかどうか?という点も話題にのぼりました。

そのネガティブさゆえに、一時は未明批判というものも、文壇ではあったようです。


大人になってから読む童話もまた味わい深いもの。

童話といえば、やはり宮沢賢治がパッと浮かびます。

未明は賢治と同じ時期に作品を発表しています。

二人の出身も根ざした土地もそれぞれ違いますし、

作風やテーマも違いますが、同じ時代ということで比較してみても面白いかもしれません。


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